【舌の筋トレ(MFT)は睡眠時無呼吸に効く?最新の研究から歯科医が解説】

こんにちは!東急池上線・大井町線「旗の台駅」東口から徒歩30秒、
イオンタウン旗の台2階の歯医者、旗の台歯科・矯正歯科です。
「いびきがひどい」「眠っても疲れが取れない」「睡眠時無呼吸症候群と診断された」
そんな方から、最近よく聞かれるのが
『舌の筋トレ(MFT)って本当に効果があるんですか?』という質問です。
結論から言うと、舌の筋トレ(MFT)は、睡眠時無呼吸症候群の改善に“一定の効果がある”ことが、
近年の研究で示されています。
今回は、舌の筋トレ(MFT)とは何か、なぜ無呼吸に効くのか、
そしてどんな人に向いているのかを歯科医の視点でわかりやすく解説します。
舌の筋トレ(MFT)とは?
MFTとはMyofunctional Therapy(口腔筋機能療法)の略で、 舌・唇・頬・口周りの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングです。
本来は小児矯正や口呼吸改善に使われてきましたが、 近年では睡眠時無呼吸症候群(特に閉塞性)への効果が注目されています。
睡眠時無呼吸の多くは、舌が喉の奥に落ち込む「舌根沈下」が原因です。
なぜ舌の筋トレが無呼吸に効くのか
睡眠中、舌の筋力が弱いと、舌が重力で喉の奥に落ち込み、 空気の通り道(気道)をふさいでしまいます。
舌の筋トレを行うことで、
- 舌の位置が安定する
- 舌根沈下が起こりにくくなる
- 気道が確保されやすくなる
結果として、いびきや無呼吸の回数が減少すると考えられています。
最新研究でわかっているMFTの効果
海外の研究では、MFTを継続した患者において、
- 無呼吸低呼吸指数(AHI)が約30〜40%改善
- いびきの頻度・音量の減少
- 日中の眠気の改善
といった結果が報告されています。 特に軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群で効果が出やすいとされています。
重度の睡眠時無呼吸症候群では、 CPAPなどの医科的治療が第一選択となります。
MFTが向いている人・向いていない人
■ 向いている人
- 軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群
- いびきが主な悩み
- 口呼吸・舌の位置が低い
- CPAPが合わない・使えない
- スリープスプリントと併用したい
■ 向いていないケース
- 重度の無呼吸(AHIが高い)
- 継続的なトレーニングが難しい
歯科で行うMFTのメリット
- 舌・顎・噛み合わせを専門的に評価できる
- 間違った舌の動かし方を防げる
- スリープスプリントとの併用が可能
自己流では効果が出にくいため、 歯科での正しい指導が重要です。
参考文献
- Guimarães KC et al. Myofunctional Therapy for Obstructive Sleep Apnea. Am J Respir Crit Care Med.
- 日本睡眠学会 睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン
- 日本歯科医学会:口腔筋機能療法に関する報告
- 東京医科歯科大学 睡眠医歯学連携資料