【親知らずは抜くべき？抜かなくていいケース・抜いた方がいいケースを歯科医が解説】
こんにちは！東急池上線・大井町線「旗の台駅」東口から徒歩30秒、
イオンタウン旗の台２階の歯医者、旗の台歯科・矯正歯科です。
「親知らずって抜くべきなの？」「まだ痛くないけど放置して大丈夫？」
そんな疑問をお持ちの方はとても多いです。
実は、親知らずには“抜いた方がいいケース”と“抜かなくていいケース”が明確に存在します。
今回は、歯科医の視点から親知らずの正しい判断基準を、できるだけわかりやすく解説します。
1. 親知らずを抜かなくていいケース
まずは「抜かなくても大丈夫な親知らず」からご紹介します。 すべての親知らずを抜く必要はありません。
抜かなくてよい主なケースは次の3つです：
- 真っすぐ正常に生えていて、噛み合わせに参加している
- 炎症や虫歯がなく、しっかり磨ける位置にある
- レントゲンで見ても周囲の歯に悪影響を与えていない
特にまっすぐ生えた親知らずは、 将来のブリッジ・移植・補綴にも利用できる“予備の歯”となる可能性があります。 「抜かなくていい親知らず」も確かに存在します。
“親知らず＝必ず抜く”ではありません。 正しい判断にはレントゲン（パノラマ・CT）が必須です。
2. 親知らずを抜いた方がいいケース
次に、抜歯が推奨される親知らずについて解説します。 以下の項目に当てはまる場合、放置するとトラブルを繰り返しやすいです。
- 横向き・斜めに生えている（水平埋伏・傾斜）
- 手前の歯（第二大臼歯）を押している・虫歯にしている
- 歯ぐきが腫れて痛む（智歯周囲炎）
- 磨けずに汚れが溜まりやすい
- 痛みが繰り返し起きる
特に「横向きの親知らず」は、 手前の健康な歯を虫歯や歯周病にしてしまう確率が非常に高いため、 早めの抜歯をおすすめします。
腫れてからの抜歯は難易度と痛みが増すため“痛くなる前”の抜歯が理想です。
3. 親知らずを放置すると起こりやすいトラブル
抜いた方が良いタイプの親知らずを放置すると、 次のような問題が起こりやすくなります。
- 歯ぐきの腫れ・繰り返す痛み（智歯周囲炎）
- 手前の歯が虫歯・歯周病になりやすい
- 口が開かない・顎の痛み
- 噛み合わせの乱れの原因になる
特に手前の第二大臼歯（6番・7番）がダメージを受けると治療が大変になるため注意が必要です。
4. 親知らずはいつ抜くのがベスト？
最も良い時期は、 20代前半〜20代後半と言われています。
理由は：
- 骨が柔らかく、治りが早い
- 根が完成しきっていないことが多い
- 腫れや痛みが少ない傾向がある
もちろん30〜40代でも抜歯は可能ですが、 治癒スピードは若いほど早い傾向があります。
5. 親知らず抜歯の流れ（当院の例）
- CT撮影で神経・骨の位置を確認
- 局所麻酔で痛みを軽減
- 歯ぐきを最小限に開いて抜歯
- 縫合後、抗生剤・痛み止めを処方
CTを使うことで神経損傷リスクを最小限に抑え、 短時間での抜歯が可能になります。
6. すぐ歯科を受診すべき症状
- 頬が腫れて痛む
- 口が開かない
- 痛みが何度も繰り返す
- 親知らずの周りが臭い・出血がある
これらは急性炎症（智歯周囲炎）の可能性があり、 早めの対応が必要です。
参考文献
- 日本口腔外科学会『親知らずの診療ガイドライン2023』
- 東京医科歯科大学 口腔外科データベース
- 厚生労働省 歯科疾患実態調査
- 日本歯周病学会：智歯周囲炎に関する臨床研究